速秋津姫のスピリチュアル的な役割を解説します!
速秋津姫のスピリチュアル的な役割とは?
速秋津姫(はやあきつひめ)は女性神であり「浄化や再生の象徴」と言われていますが、これは少し違います。
なぜなら速秋津姫(はやあきつひめ)は、4人の神様から成る祓戸大神(はらえどのおおかみ)の内の一柱で、一般的に言われている「浄化や再生のプロセス」の一部しか担っていないからです。
今回の記事では、この速秋津姫(はやあきつひめ)について徹底解説します。この記事を読むことで、スピリチュアルに興味のある方は、より根拠を持ってスピリチュアルな世界を探求することができると思います。
ぜひ最後まで読んでください。
【速秋津姫・スピリチュアル】速秋津姫の正式名称
速秋津姫(はやあきつひめ)は以下のように表記されます。
- 古事記(こじき):速秋津比古神(はやあきつひこのかみ)・速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)または水戸神(みなとのかみ)
- 大祓詞(おおはらえことば):速開津比売(はやあきつひめ)
- 日本書紀(にほんしょき)一書第六:速秋津日命(はやあきつひのみこと)
ごらんの通り「はやあきつひめ」と読みますが、お姫様の「姫」の字ではないことが良く分かると思います。比売(ひめ)とは女神を指す言葉です。
古事記においては伊邪那岐命(いざなぎ)・伊邪那美命(いざなみ)が生んだ神々の中に「次に水戸神(みとのかみ)、名は速秋津日子神(はやあきつひこしん)、次にその妹(妻)、速秋津比売神(はやかきつひめしん)」と名前があって夫婦の神となっています。
大祓詞(おおはらえことば)においては、速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)は速開都比売命(はやあきつひめ)と表記されています。
日本書紀・神代上第五段一書第六においては、伊奘諾尊(いざなぎ)・伊奘冉尊(いざなみ)が生んだ神々のうち「水門神(みなとのかみ)たちを速秋津日命(はやかきつひ)と名付けた」とだけ記されています。日本書紀においては、単独の神の名ではなく「水門神たちの総称」ということです。
古事記(こじき)と日本書紀(にほんしょき)
古事記(こじき)は天皇家の歴史を記すことが目的の書物です。710年に太安万侶(おおのやすまろ)という貴族が編纂(へんさん)し、元明天皇(げんめいてんのう)に献上したことで成立しました。
一方で、日本書紀(にほんしょき)は、日本という国の成立を記すことが目的です。天武天皇(てんむてんのう)の皇子の舎人親王(とねりしんのう)が主導し、紀清人(きのきよひと)や三宅藤麻呂(みやけのふじまろ)が編纂(へんさん)の実務を担当し、720年に完成しました。
大祓詞(おおはらへことば)とは何か?
大祓詞(おおはらえびことば)とは、神道の祭祀(さいし)に用いられる祝詞(のりと)の一つです。
もともと大祓式に用いられ中臣氏(なかとみうじ)がもっぱらその宣読(せんどく)を担当したことから、中臣祭文(なかとみさいもん)や中臣祓詞(なかとみのはらえことば)とも呼ばれています。
また大祓詞(おおはらえびことば)は毎年6月と12月の末日に行われる大祓(おおはらえ)で、犯した罪や穢れを祓うために唱えられた祝詞で、中臣氏が京の朱雀門で奏上していたことから中臣祓(なかよみのはらえ)とも呼ばれています。
中世には陰陽道や密教と結びつき、陰陽道の呪言や仏教の経典のように、唱えるだけで功得が得られると考えられるようになりました。
現在では大祓(おおはらえ)の際に参拝者自らが唱えるほか、神社本庁包括下の神社では毎日神前にて唱えられています。
祭祀(さいし)とは何か?
祭祀(さいし)とは祖先や神々を祀ることを指します。 特に天皇が行う祭祀(さいし)は宮中祭祀(きゅうちゅうさいし)と呼ばれ、江戸時代よりも前の時代から歴代の天皇に引き継がれてきた行事です。
祝詞とは何か?
祝詞(のりと)とは、神職が祭典の際に神様へ奏上する言葉です。または神様を祀り祈る際に唱える言葉です。
伊邪那岐命(いざなぎ)と伊邪那美命(いざなみ)とは、どんな神様か?
伊邪那岐命(いざなぎ)と伊邪那美命(いざなみ)は日本最古の夫婦神です。
伊邪那岐命(いざなぎ)と伊邪那美命(いざなみ)は、高天原(たかまがはら)の神から「国生み」を命じられ、国土をきちんと形作ったのちに「神生み」を行いました。国土と自然環境の恵みを司る神々を次々と生み出し、日本国を統一しました。
高天原(たかまがはら)とは何か?
高天原(たかまがはら)は古事記において、神々が生まれる場所として、その名が登場します。
伊邪那岐命(いざなぎ)と伊邪那美命(いざなみ)の二柱が、空から鋒(ほこ)を降ろして、かき混ぜて日本列島を作ることから、海の上の雲の中に存在していたと言われています。
高天原には多くの神が住み「天之安河(あめのやすかわ)、天岩戸(あまのいわと)、水田、機織の場(きしょくのば)」などがあり、人間の世界と非常に近いです。
ちなみに古事記と並ぶ日本最古の史書である「日本書紀」には、高天原の名は、ほとんどみられません。
国生み(くにうみ)とは何か?
国生み(くにうみ)とは日本の国土創成神話です。
伊邪那岐命(いざなぎ)と伊邪那美命(いざなみ)の二柱が、高天原の神々に命じられて日本列島を構成する島々を創成した物語です。
【速秋津姫・スピリチュアル】そもそも速秋津姫とは、どんな神様か?
速秋津姫(はやあきつひめ)に関しては、古事記に詳しい記述があります。
速秋津姫(はやあきつひめ)は神産みの段で、伊邪那岐命(いざなぎ)・伊邪那美命(いざなみ)二神の間に産まれた、速秋津比古神(はやあきつひこのかみ)・速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)からなる男女一対の神です。
この速秋津比古神(はやあきつひこのかみ)と速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)二神の間には以下の四対八柱の神が産まれたと記されています。
- 沫那藝神(あはなぎのかみ)
- 沫那美神(あはなみのかみ)
- 頬那藝神(つらなぎのかみ)
- 頬那美神(つらなみのかみ)
- 天之水分神(あめのみくまりのかみ)
- 国之水分神(くにのみくまりのかみ)
- 天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)
- 国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)
いずれも水に関連する神です。
「速」は美称(びしょう)、「秋」は「開」の借字(しゃくじ)、「津」は「港」と解し、名義は「勢いの速く盛んな、河口の男性・女性」と考えられます。
美称(びしょう)とは?
美称(びしょう)とは他人を褒めていう時の言葉です。
借字(しゃくじ)とは?
借字(しゃくじ)とは、漢字のもつ意義にかかわらず、その音や訓を借用して書き表す方法です。
【速秋津姫・スピリチュアル】大祓詞での役割
延喜式(えんぎしき)の「六月晦大祓の祝詞」に記されている「瀬織津比売(せおりつひめ)・速開都比売(はやあきつひめ)・気吹戸主(いぶきどぬし)・速佐須良比売(はやさすらひめ)」の四神を祓戸大神(はらえどおおかみ)と言います。
祓戸大神は、個人や社会の禍事(まがごと)や罪、穢れ(けがれ)を祓う(はらう)お祓いと禊ぎ(みそぎ)をつかさどる神様です。
- 禍事(まがごと)とは、曲がっていること
- 罪とは、汚れに包まれていること、汚れが積もっていること
- 穢れとは、気枯れといって「気」が枯れている状態のこと
個人でも組織でも、最初のうちは正しくまっすぐ進んでいても、時間の経過と共に、いつの間にか曲がって偏ってしまいます。その曲がった状態が習慣化してしまえば、曲がっていることにすら慣れてしまい、最終的にはどん底に落ちてしまう。
祓戸大神(はらえどおおかみ)は私たちが犯した罪や心身の穢れを祓い、本来のあるべき姿へ戻し浄化してくれる神と言えます。
そして、この祓戸大神(はらえどおおかみ)は葦原中国(あしはらのなかつくに)のあらゆる罪・穢れを祓い去る神で大祓詞(おおはらいことば)にはそれぞれの神の役割が記されています。
- 瀬織津比売神(せおりつひめ):もろもろの禍事・罪・穢れを川から海へ流す
- 速開都比売神(はやあきつひめ):河口や海の底で待ち構えていてもろもろの禍事・罪・穢れを飲み込む
- 気吹戸主神(いぶきどぬし):速開都比売神がもろもろの禍事・罪・穢れを飲み込んだのを確認して根の国・底の国に息吹を放つ
- 速佐須良比売神(はやさすらひめ):根の国・底の国に持ち込まれたもろもろの禍事・罪・穢れをさすらって失う
世の諸々の禍事(まがごと)と罪、穢れを瀬織津比売(せおりひめ)が川に洗い流して、速開都比売(はやあきつひめ)が河口で受け取って海底に沈める。そして、気吹戸主(いぶきぬし)が海底から根の国・底の国に禍事・罪・穢れを送り込んで、最後は速佐須良比売(はやさすらひめ)が穢れ等全てを浄化する。
冒頭で速秋津姫(はやあきつひめ)は「浄化や再生の象徴というのは少し違います」と私は言いましたが「瀬織津比売(せおりつひめ)・速開都比売(はやあきつひめ)・気吹戸主(いぶきどぬし)・速佐須良比売(はやさすらひめ)」の四神である祓戸大神(はらえどおおかみ)の連携プレーがあって初めて浄化のシステムが作動します。
そのため、心身の浄化が目的なのであれば、速秋津姫(はやあきつひめ)だけにお参りするだけでは足りません。
「瀬織津比売(せおりつひめ)・速開都比売(はやあきつひめ)・気吹戸主(いぶきどぬし)・速佐須良比売(はやさすらひめ)」の四神すべてにお参りすべきです。
葦原中国(あしはらのなかつくに)とは何か?
葦原中国(あしはらのなかつくに)とは日本の神話に登場する日本国土の別称です。
- 葦の葉(あしのは)がざわざわと無気味にさわぐ未開の地
- 荒ぶる国つ神が蟠踞(ばんきょ)する混沌とした無秩序の世界
- 人間生活の中心地に対する野蛮な周辺部
- 死者が住むとされた山や原始林地帯との中間の地
葦原中国(あしはらのなかつくに)は上記のような特徴があり、高天原(たかまがはら)から見て地下の黄泉国(よみのくに)との中間に位置していることから、葦原中国(あしはらのなかつくに)と名付けられました。
【速秋津姫・スピリチュアル】速秋津姫をお祀りする神社いろいろ
速秋津姫(はやあきつひめ)が祀られている神社は以下の通りです。
- 【兵庫県】湊口神社(みなとぐちじんじゃ)
- 【東京都】隅田川神社(すみだがわじんじゃ)
- 【宮崎県】速開都比売神社(はやあきつひめじんじゃ)
順番に解説します。
【兵庫県】湊口神社(みなとぐちじんじゃ)
湊口神社(みなとぐちじんじゃ)は、兵庫県の淡路島南部にある三原平野の大半が海水で満たされた入江であった頃、古代淡路・御原の海人族が御祖神である速秋津比古神(はやあきつひこしん)・速秋津比売神(はやあきつひめしん)を奉斎(ほうさい)する全国でも数少ない神社の1つです
【東京都】隅田川神社(すみだがわじんじゃ)
隅田川神社(すみだがわじんじゃ)は創建については不明ですが、言い伝えによれば源頼朝(みなもとのよりとも)が東京都の墨田区堤通に創建したものと言われています
もとの名を浮島神社といい、古くは水神社、水神宮、浮島宮などとも呼ばれ「水神さん」として親しまれてきました。
隅田川神社(みすだがわじんじゃ)は隅田川一帯の守り神でもあり、水運業者や船宿など、川で働く人たちの信仰を集めたほか「水神」の名から水商売の人々にも信仰されました。
このような関係から、速秋津比古神(はやあきつひこのかみ)・速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)を祀っています。
【宮崎県】速開都比売神社(はやあきつひめじんじゃ)

速開都比売神社(はやあきつひめじんじゃ)は、宮崎県西都市にある神社です。
山と川に囲まれた場所に存在しており、全国にも5か所しか確認できない「青い鳥居のある神社」としても有名です。
また非常に神秘的な大滝も有名で、水の神にちなんで速開津比売(はやあきつひめ)を祀っています。
速秋津姫のスピリチュアル的な役割を解説します!:まとめ
以上、速秋津姫(はやあきつひめ)のスピリチュアル的な役割について解説しました。
速秋津姫(はやあきつひめ)は水と関係する神様で、確かに浄化といったスピリチュアル的な意味はありますが、神話的には浄化のお仕事の一部しか担っていません。
- 瀬織津比売(せおりつひめ)
- 速開都比売(はやあきつひめ)
- 気吹戸主(いぶきどぬし)
- 速佐須良比売(はやさすらひめ)
上記の四神である祓戸大神(はらえどおおかみ)の連携プレーがあって、はじめて浄化のプロセスが完成します。
ぜひ「浄化」といったスピリチュアル的な恩恵を受けたい方は、速秋津姫(はやあきつひめ)だけではなく、他の祓戸大神(はらえどおおかみ)が祀られている神社にも足を運んでみてください。
速秋津姫(はやあきつひめ)を祀る、宮崎県の速開都比売神社(はやあきつひめじんじゃ)についての詳細は、以下の記事で紹介しています。ぜひ読んでみてください。
全国的に話題に上がっている速秋津姫(はやあきつひめ)を祀る神社を紹介した記事です。今回の記事でも速秋津姫(はやあきつひめ)を祀る神社は、いくつか紹介しましたが、以下の記事では、もっと多くの神社を紹介しています。ぜひ読んでみてください。
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