『親思う 心にまさる 親心 今日のおとずれ 何ときくらん』

という句を残してこの世を去った吉田松陰。

父・百合之助や母・滝に対する気持ちがどれだけ大きかったのかが窺える句です。

 

実は、両親に対して心配をかけたくないという松陰の思いは、処刑された江戸の伝馬町から故郷の萩にまで届き、夢となって百合之助と滝にメッセージを伝えていました。

今回はそんなお話です。

 

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妹・千代のインタビュー

この時の様子を松陰の妹である千代が明治時代になって語っています。

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今回は松浦光修さんの【新訳 留魂録】を参考に松陰が百合之助と滝の夢に出てきたという話を紹介ます。

 

私は、初めてこの文を読んだとき、人の思いや念というのは間違いなく存在するんだなと思いました。

とても不思議な話ではありますが、実の妹が語っているだけあって、信憑性の高い話です。

 

夢に出てきた松陰

松陰が伝馬町の牢屋敷に入れられている時、萩では兄の梅太郎と弟の敏三郎が揃って病にかかっていました。

百合之助と滝は2人の看病に忙しく疲れ切っていたそうです。

 

疲れが溜まっていた百合之助と滝は、看病の合間に揃って仮眠をとっていました。

そして、2人同時に目が覚めます。

 

滝は「松陰がとても元気な姿で夢に出てきて、声をかけると消えてしまった」と百合之助に話します。

 

すると百合之助は

 

「実は私も夢を見ていた。それは首を切り落とされる夢。」

「ただ、首を切り落とされているのにとても心地よく、こんなにも気持ちのいいことだったのかと感心していた。」

 

と語りました。

 

普通に考えてみると、首を切り落とされる夢なんて心地いいものじゃありませんよね?

ただ、不思議と百合之助にはそう感じられたようです。

 

そして、その夢を見てから20日後、江戸から松陰が斬首されたという知らせが届きます。

この報告を聞いた百合之助と滝が、夢の事を思い出します。

 

あわてて計算してみると、その夢を見たのは松陰が処刑された時間と全く一緒だったそうです。

 

松陰からのメッセージ

この事を百合之助は、首を切られたのに心地いいと思ったのは、松陰が最期を迎える時に「自分には何の心残りもない。」ということを伝えたかったのだろうと解釈しています。

 

吉田松陰

 

他人が見ると、斬首という悲しい結果なのかもしれませんが、「自分にできることはやりきった。何も後悔はしていない。」という松陰の気持ちが伝わったのかもしれません。

 

両親を心配させたくないという松陰の思いが届いたのであれば、本当に不思議な話です。

 

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