大阪夏の陣での豊臣家の滅亡。

その中に徳川家康の本陣に突撃を敢行し、家康をあと一歩というところまで追いつめた真田幸村(信繁)がいました。

 

幸村はこの日を最後と決めて戦に挑む訳ですが、気になるのは残される子供たちの事。

そこで真田幸村は意外な人物に自分の子供たちの行く末を託すことにします。

 

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伊達政宗の家臣へ子供を託す

その意外な人物の名前は片倉小十郎重長。

奥州の戦国大名・伊達政宗の重臣です。

 

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父親の片倉小十郎景綱は天然痘が原因で視力が無くなった伊達政宗の目を抉り出した人物として有名です。

小十郎というのは片倉家の当主が名乗る名前で、重長もこの名前を受け継いだため、片倉小十郎重長(2代目小十郎)と呼ばれています。

 

片倉小十郎重長は超が付くほどの美男子で、男色家として知られる小早川秀秋が夢中になったという逸話が残っています。

戦場に出れば勇猛果敢で、大坂の陣では大坂方の後藤又兵衛を討ち取り、真田信繁の軍勢ともと死闘を繰り広げています。

 

この真田幸村隊との戦い、一時は片倉小十郎重長の率いる鉄砲隊が真田隊を圧倒していましたが、幸村が態勢を立て直すと、逆に片倉隊を押し返すという激戦となっています。

 

結局、後藤又兵衛を失った大坂方は、真田幸村が追撃してくる伊達政宗の兵を食い止めながら一旦大阪城に引き上げます。

この時、幸村は『関東軍100万と言えども、男と呼べる者は一人もいない!!』という有名な言葉を残して引き上げるのですが、そうは言いながらも幸村の中には気になる人物がいました。

 

それが片倉小十郎重長です。

 

軍勢を指揮して刃を交えた者同士にしか分からない直感というものなのでしょうか?

その日の夜、最後の突撃を前に幸村は重長に宛てて一通の文を書きます。

 

幸村の申し出を受け入れる片倉小十郎重長

翌日に決死の突撃を決断した幸村から重長に届いた手紙には、「自分の娘(お梅)を保護してほしい」と記されていたと言います。

あろうことか幸村は、敵方の大名・伊達政宗の重臣に自分の子供の命を助けてほしいと手紙を出したのです。

 

たった今、刃を交えた敵からの意外な申し出。

しかも後に『真田日本一の兵』と呼ばれる名将・真田信繁からの嘆願です。

 

重永はこの申し出を光栄に思い、大阪城から脱出してきた真田信繁の三女・阿梅を自分の陣中で匿います。

 

当時12歳だった阿梅(おうめ)は容姿端麗の美少女だったと言われています。

 

愛娘を無事に片倉重長の陣まで送り届けた真田幸村は、翌日、決死の突撃を敢行。

徳川家康を追いつめた武将として名誉ある最期を向かえます。

 

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伊達政宗も危険を承知で子供を守ることを許可

信繁の遺児を預かった重長ですが、敵方の子供を匿ったとなると、徳川家康から主君である伊達政宗にも在らぬ疑いがかけられてしまう可能性があります。

 

この時、お梅を真田信繁の遺児だと言って、徳川家康の前に引き出すことも出来ました。

しかし、伊達政宗と片倉重長は相談の末、お梅は領内に連れて帰り、そこで養育することを決めています。

 

他の信繁の遺児達も一緒に連れ帰っているのですが、その中には男の子である大八も含まれていました。

真田信繁の男児を匿う、当時の情勢を考えれば気軽に出来る事ではありません。

 

案の定、徳川家から真田家の遺児を匿っているのではないかという疑いがかけられます。

しかし、重長は大八に片倉姓を名乗らせたり、既に大八は亡くなっていると虚報を流すなどして、子供たちを守り続けています。

 

この事からも、託された子供たちを何としても育て上げ、真田幸村の遺志に報いたいという片倉重長の思いが分かります。

 

 

幸村の子供、お梅と大八のその後

その後、大八は片倉姓を名乗り伊達家の家臣として暮らしますが、子孫は真田姓に復姓。

これが仙台真田家の興りで、真田幸村、大谷吉継の流れをくむ真田家の血統が今も生き続けています。

 

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そして、12歳で重長に保護された信繁の三女・お梅は重長の正室が亡くなると、その継室として迎えられています。

重長の正室はお梅をとても可愛がっていて、「自分が亡くなったらお梅を継室に」と言い残しているようなので、片倉家でお梅はとても大切に育てられたようです。

 

真田幸村は片倉重長の何を見込んで子供たちを託したのか?

そのハッキリとした理由は分かりません。

 

しかし、片倉重長が信繁の子供たちを大事にしている事を考えると、信繁の父親としての人を見る目も確かだったようです。

 

男の約束を守った『片倉小十郎重長』、かっこよすぎます。

 

もっと詳しい片倉重長についての記事⇒真田幸村(信繁)の子供・阿梅と大八を保護した片倉小十郎重長とは?

 



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